『ある哲学者の軌跡』版下作業
かなり特殊なお仕事をさせて頂きました。装丁を手がけたのは半世紀にわたり岩波書店さんで仕事をされてきた大ベテランの坂口 顯氏。その指定書をお預かりしてデータ化するお仕事を頂きました。すみずみまで計算され尽くした生指定書にはかなり学ぶことが多く、Q数選びや文字の揃え、写真の補正の指示、どれをとっても非常に的確です。デジタルで「ぺっ」とその場その場のレイアウトやデザインをしている自分が恥ずかしくなります…。抽象的なイメージやアイデアを数値に落として細かく設計していく作業、とても大切です。
花伝社 (装幀:坂口顯さん/版下:黒瀬)
『ロスジェネ心理学』
いわゆるロストジェネレーション世代を社会学というより、心理学的な視点から切り取った一冊です。担当のSさんもモロに該当世代とのことで思い入れ大い一冊です。「心理学」といったフレーズを白基調に赤に近いオレンジ色という病院カラーでそことなくイメージさせました。カバーをとるとロスジェネ世代を象徴させる郊外の住宅街がキラキラ輝く街並の表紙が…。「あの頃は良かった」感を演出しています。カバーは現実を、表紙は幻想や妄想を象徴しています。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『インド・アフター・インド』
インドと日本を行き来している著者のインド体験記。空気のようにそこにある、インドでの生々しい体験を淡々と語っています。美しい写真もご本人が撮影。目次と扉もデザインしました。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『被爆アーチストの旅』
広島で原爆体験をし、その後墨絵アーティストとして活動している著者。その自伝本です。「被爆アーティスト」というかなりショッキングなタイトルを作り文字で少し柔らかな印象にしました。見返しにクラフト紙を使い墨絵作品の印象を出しました。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『実録 高校生事件ファイル』
現役高校生教師の実際の体験を淡々とリアルに綴った本です。ドラマのような脚色されたような話ではなく、実録の事件をそのままのカタチで伝えてくれます。フォントの部分毎に太さを変えてざわついた印象を表しました。
共栄書房 (装幀:黒瀬章夫)
『学力の国際比較に意義あり!
フィンランド教育の批判的検討』
フィンランド教育のメリット、デメリットを客観的に見つめ直し改めて「教育」について考えさせる内容です。カバーイラストは著者さんが自ら描いて頂いたもの。フィンランドブルーをイメージさせた特色+スミの二色刷り。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『直下型地震』
いつ起こるかわからない直下型地震についていま研究でわかることを紹介しています。地震の写真だと具体的になり過ぎるのでイメージが広がるような空面の多い都市の写真をご提案。文字も一部加工して、よりテーマを明確にしています。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『コンビニ改造論』
コレも何かの縁なのか…岡山出身の「姫」こと姫井さんが著書の本です。フランチャイズの問題改善について綴った本です。民主党カラーの赤を基調に真面目でシンプルな印象に。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『闇の新聞裏面史』
新聞販売店の元店主が部数至上主義による「押し紙」の実態を赤裸々に証言した内容。背景は実際に新聞紙をちぎって貼ったものを撮影して作成しました。実は書名の「裏」の文字、新聞明朝をベースに実は書体のセリフが逆にしていてます。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『破綻する法科大学院と弁護士
弁護士観察日記PART2』
以前、お手伝いをさせて頂いた『弁護士日記PART1』の続編です。今回は淘汰の危機に直面する法科大学院をテーマにしてます。シリーズということで前回のものを踏襲しつつ配色など今後の展開も含めて再調整してます。
共栄書房 (装幀:黒瀬章夫)
『韓国天才少年の数奇な半生』
60年代にフジテレビが放送して話題になった韓国の天才少年。人類史上最高のIQ天才児として時代の寵児となった彼はその後、こつ然とマスコミから消えた。そんな少年の行方を追った元フジテレビ記者・プロデューサーが描くドキュメンタリーもの。資料はもう処分されてしまっており十分な写真がなかったので少し画像加工をして使用しました。
共栄書房 (装幀:黒瀬章夫)
『ガンはなぜ自然退縮するのか』
不治の病と言われているガン。そんなガンが自然に消えていってしまう現象は「アポトーシス(ガンの自然退縮)」と言われ様々な研究がなされています。この本はそんなアポトーシスの現在の研究成果や解明されていることを紹介しています。ガン治療に関わる方は勿論、ガン患者さんが希望を持てるような明るい印象にデザインは落ち着きました。
花伝社 (イラスト:高橋文雄さん/装幀:黒瀬章夫)
『抗ガン剤の悪夢』
『原発マフィア』と同じ著者の船瀬さんの新刊です。今回は抗がん剤のお話。抗がん剤をとりまくお話を独特の言い回しで語っていくという内容です。カバーの装画は高橋文雄さん。不明瞭さと不安さが少しだけ残るような印象が絶妙です。インパクトの強い書名ながらガンにまつわる患者さんご自身やご家族にも手に取ってもらいたいということで数案ご提案した中で今回は中庸なところで落ち着きました。
花伝社 (イラスト:高橋文雄さん/装幀:黒瀬章夫)
『原発マフィア』
原発本ですが、タイトルの通りかなり厳しく原発問題を取り上げた本です。打合せの中で「原発問題の闇を描きつつもこれからの自然エネルギーについても取り上げていて、その明暗を上手く表現して欲しい」とのことでツンデレっぷりを表現するためカバー、帯、表紙、見返しが全部白黒交互に。実はこれ、阿修羅男爵のイメージ…(笑)ってのは冗談です。見返しもわがままを言って最初と最後の色を変えてもらいました。カバーの表裏のギャップとカバーの背が結構気に入ってます。原発問題から自然エネルギーへの転換ももう遠い未来じゃない気がします。僕自身、出来れば震災前にそんな考え方に気付ければ良かった。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)
『放射能汚染』
震災後、放射能関係の本が急増しました。(当然と言えば当然なんですが…)それだけ放射能、原発に対する社会の見方が一夜にして変わったってことですね。こちらは放射能汚染をテーマにしたムック本です。まず、議論や検討を進める前に「放射能」がどういうものか嘘偽り、煽りなく、きちんと知ろうじゃないか!ということで「放射能」を客観的に詳しく説明した内容です。表紙デザインも少し中庸な印象で落ち着きました。とはいえ、我々にとっても大きな問題なので「汚染」のところにアクセントを入れてフックにしました。
花伝社 (装幀:黒瀬章夫)